彼女は胸をはって、誇らしげにそう言いました。

雨の日曜日でした。
土曜日に引き続き、磐田にある静岡産業大学の体育館に行きました。


第1試合は、セイコーエプソンとベスビアス新潟の試合でした。
平成26年度 第5回 全国6人制バレーボールリーグ総合男女優勝大会 女子決勝リーグ。
この長い大会名に参加したチームは7チーム。
その中で、セイコーエプソンは6位。ベスビアス新潟は7位でした。
7チーム中、6位と7位の試合でした。



試合はセイコーエプソンが、2セットを連取します。
このままストレートで決着がつくかな?
と思いながら観戦していた第3セットは、ベスビアス新潟がリード。
そのセットの途中から、小池嘉乃選手(旧姓 野溝)、クミさんが出場しました。



クミさんは、2008Mermaidsのキャプテンでした。


2008年にクミさんが卒業した時、バレーボールを続けないということに、落胆はしました。
どこかの体育館で、また会えたらいいなあと思いました。
Mermaidsの応援とかで、なんか会えそうな気がするじゃないですか。
しかし、全くそんな機会もありませんでした。
だから2013年の夏にクミさんがセイコーエプソンのチームに入っているのを知った時は驚いたなあ。
嬉しかったなあ。


それから、また1年とちょっと。
いろいろあったと知りました。
届けたかった思いがあって、またバレーを始めたけれど、
その思いを届けることができなくなってしまった今、
もうバレーを続ける「気力」も「理由」もなかったのではないかと思います。
でも、またコートに戻ってきてくれました。


かつてのパフォーマンスには、やはり遠かった。
それでも、きれいなサーブレシーブ。
なぜか2007年の神奈川トーナメントを思い出しました。
神奈川大学の体育館で、サーブレシーブの苦手な選手のカバーで、
それは、もう恐ろしいぐらいの守備範囲でサーブを受けていました。


サービスエースもありました。
クミさんは、2年生の時の東日本インカレでサーブ賞を受賞していました。


セイコーエプソンは、追い上げるも第3セットを落としてしまいましたが、第4セットを取り返して3-1で勝利をしました。
その勝利の後、自分は選手が挨拶に来るところを「逃げて」しまいました。
ある予感があって、会わないでおこうと思いました。



スタンドでお昼ご飯を食べて、階段をおりていったら、クミさんとばったり会ってしまいました。
ちょっと溢れるような思いがあって、言葉にも困っていたら、
クミさんが、それは、それは晴れやかに、こう言いました。
「集大成です」
クミさんは、胸をはって、誇らしげにそう言いました。
地域リーグの最下位とその一つ上の試合。
大学時代から比べようもないパフォーマンス。
それでも、今のその時のベストを尽くしたからこその、
「集大成」
また、その「集大成」という言葉に込められている「意味」もわかっているから。
「集大成」
という言葉に、また言葉に詰まってしまいました。
でもね。
本当にクミさんは、やり切った。
充実感に満ちた、「いい顔」してました。
クミさんの笑顔のあと、
「お疲れ様でした」
ではなく、
「また どこかでお会いしましょう」
の言葉が、クミさんからも自分からも自然に出たのだけれど、
あの時のクミさんにも、自分にもそれが相応しいと思いました。



クミさん、ありがとね。
お幸せに。