クウさんは素晴らしかった

日曜日。
大田区体育館NECのホームゲーム2日目。
NEC-日立。
スタンドのエンド側から、応援していました。
クウさんは素晴らしかった。
そのトス回しの速さについていけないぐらい。
テンさん以来かなって思うほど。
第2セット終盤まで、NECの一方的なペースだった。
それが日立の佐藤選手の神がかり的なサーブに形勢が一変。
古賀選手が崩され10点近くあった差を一気に逆転されてしまう。
クウさんがいくら調子が良かったとしても、セッターにボールが返らないのでは、どうしようもない。
だとしても。
おそらくセッターのクウさんは、責任を誰よりも感じていたと思う。
その流れのまま、第3セットも日立が優位に試合を進める。
この中盤から後半に向かう場面で、控えセッターの奥山選手が、ベンチで4番の札を持って準備をしていた。
待ってほしい。
それは心から願った。
「クウさんを応援しているから」
と言うのではない。
今日のクウさんの調子を考えれば、2〜3点の差は必ず逆転できるはずだと、信じていたから。
NECの勝利の為には、セッター交代で流れを変えるのではなく、
クウさんに、ここを託してほしいと願っていた。
クウさんは、素晴らしかった。
コートの幅いっぱいを使ったクウさんのトスは伸びがあって、軌道が美しい。
その速さに、相手ブロッカーはついていけない。
特にシンさんと古賀選手に上げたトスは鳥肌ものだった。
それでも、
シンさんはきれいに決めて見せたが、古賀選手はそのトスを決めることができなかった。
上げた瞬間に、ああ、これは絶対に決まると思ったトスを、ネットにかけてしまった。
この日の古賀選手はサーブレシーブの乱れからか、第3セットになっても、攻守に精彩を欠いていた。
古賀選手の試練だったと思う。
いや、古賀選手とクウさんの試練だったと思う。
第3セット後半からは、クウさんのアタッカーに対する「心遣い」が感じられる細やかなトスを感じていました。
それは古賀選手に対するトスに顕著に表れていたと思う。
そのトスを上げる場面、トスの意味、一つ一つのトスに込められたクウさんの気持ちを思った。
クウさんをここで代えないでほしい。
第3セット、そう願っていた。
結果、山田監督はクウさんを代えなかった。
でも、それは自分の願いが通じたというわけではない。
クウさんが、その劣勢の中で耐え、自分の力で「勝利のために」今のクウさんが不可欠であることを証明して見せたからだ。
NECは第3セットを逆転で取り、第4セットを連取して試合に勝った。
クウさんは素晴らしかった。