雨の降る中

スポーツなのだから、約束された結末があるわけがない。
そんな当たり前のことさえ、どこかに忘れていました。
関東ミニ国体。
たくさんの応援の中、
地元、山梨で勝利して本大会出場を勝ち取る。
こうなってほしいというハッピーエンドを勝手に思い描いていました。


先月行われた関東実業団の試合の中銀の充実ぶりと、
データ収集含め、9人制の活動を中止してまでも、国体出場にかける意気込み。
参加チームの中で、最も「勝ちたかった」のは中銀だったと思います。


たくさんの応援の中、国体本選出場を勝ち取り、サポーターと喜びを分かち合う場面を願っていました。
ですが、結果は自分が期待していたものとは逆になってしまいました。


試合前日、永田選手と一ノ瀬選手が2016マーメイズの某選手と同じ高校出身と知り、当日の朝に差し入れを買いました。
自分の勝手なイメージで、本大会出場を勝ち取ったクルミさんに、声かけて3人に差し入れを渡して、
「おめでとう」って言いたかったです。


試合が終わった後、いつも、中銀の選手は応援に来られていた方々を見送るので、体育館のロビーにいましたが、みつかりませんでした。
さすがに、今回はショックを受けていて、なかなか出てこれないのかなとか思い、雨が降る外に出てみました。
すると、雨の中。監督さんはじめ選手の皆さんが整列して応援に来られた方たちを見送りに出ていました。


「選手も頑張ったのだから、かわいそう」
そうつぶやく声を聞きました。
雨が降っていることもあって、選手に気をつかってか、皆さん、足早に挨拶をして選手にねぎらいの声をかけている方がほとんどでした。
中銀の応援団は多く、長い時間、チームは雨の中にいました。
と、一人の妙齢のご婦人が、選手ひとりひとりと握手をして、声をかけられていました。
タオルで顔を覆ってしまう選手がいれば、優しく肩に手をかけて。
丁寧に一人一人に。


雨の降る中、クルミさんに声をかけました。
差し入れも渡しました。
でも、きちんとした言葉をかけることもできず、また、いろんなことも伝えられませんでした。
気持ちが溢れて言葉が出ない。
「永田さんと、一ノ瀬さんにも渡して」
クルミさんも、何が何だかわからなかったでしょう。
でも、頷いた。
「吉田みなみって、知ってる」
キョトンとした顔。
「東海の後輩なんだよ」
さらに、なにがなんだかわからなかったと思う。
わからないけど、ちょっとだけ微笑んだ。
それで、いいや。