けして 特別ではなく それでも たった一人の 

pigroboshow2007-12-25

2003年のワールドカップ
テレビを見ていた少女は、スティックバルーンの代わりに、空のペットボトルを叩いて全日本を応援していました。
少女は中学生でした。
それまで入っていた部活を辞めて、バレーボール部に入部しました。
バレーボール部に入部したけれど、以前いた部活の先輩達から嫌味を言われたり、男子バレーボール部の部員からは、プレーを馬鹿にされたりしてました。
「お前のサーブって、こうな」
マネをされて悔しかったこともありました。
始めた頃は、レシーブするたびに腕が痛くて。
肩が弱くて、サーブが苦手〜
でも、頑張り続けました。
ユニフォームもらえた時は、とても喜んで。
バレーボール部の存続が危うくなったこともありました。
でも、少女も周りの先生達も頑張りました。
そして、春に。東レアローズが少女の町にやってくることになりました。
春を、秋を。少女は東レアローズが来る日を待ち続けました。
秋のチケット販売日の朝に、友達と2人で、チケット販売所の前に並びました。
一番、最初に並びました。
だけど、お金が無くて、2日間のうち、アリーナを買えるのは1日だけでした。
日曜日の試合だけアリーナを買うことができました。
少女の町にアローズがやってくる日。少女は寒い中、アローズを空港で待っていました。
サチさんのボードを見せたら、バスの中で、ヨウコさんとサチさんが気づいてくれました。
少女の町に行きました。
話しかけたら泣き出しそうなおとなしい女の子でした。
少女のために作ったプレゼントを渡したら、微笑んでくれました。
土曜日はパイオニアに完敗。
日曜日。
そのシーズンのアローズは勝ち星に恵まれず、それまで日曜日に勝てませんでした。だけど。その日、アローズはフルセットで勝利しました。
第5セットの加奈さん、エリカさん、ダンさんは神がかったようなプレーの連続でした。
少女に一生ものの贈り物をして、アローズは旅立って行きました。
少女は寂しさと悲しさに嘆いたけれど、ダンさんの言葉に また元気に頑張ろうと思いました。

少女は高校生になりました。
バレーボールを続けました。
でも、1年生の夏につらいこと。苦しいことがありました。
バレーボールをやめようかと初めて思いました。
1年生の冬に。
東海大学のカンさんの笑顔に出会いました。
自分達のために、顔を真っ赤にして指導してくれるカンナさんと出会いました。
バレーボールをやめようと思っていた気持ちは消えていました。
2年生の秋。
少女は、セッターに転向。キャプテンになりました。
思い悩んで、たぶん 今も迷うことはあると思います。
でも、少女は頑張っています。
東海大学の試合を応援したい。
そう思って、お金を貯めました。
休みの日は、練習。バイトなどできる時間はありません。
コツコツ節約して、お金を貯めました。
大学2部開幕の日。
少女は、夢をかなえました。
国士舘大学の体育館で、東海大学の試合を応援することが出来ました。
2年生の冬。
少女のプレーを神奈川で見ました。
プレーしている際の体の軸がぶれず、トスの質がとても良く。
ちょっと、アローズに入ったばかりの頃のミチさんを思い浮かべたりしました。
思っていた以上に いい選手に成長していました。
肩の筋肉もしっかりしていて。鍛えていることが伝わってきました。
それと。
少女のサーブは、とても いいサーブを打っていて、相手レシーブを崩していました。
サーブ苦手だったはずなのに。
そう思い起こすと、少し涙が出ました。
またひとつ。コートに咲く1輪の花を、見ることが出来ました。
少女は、今も バレーボールを頑張っています。