北海道のバレー少女(アローズ篇)

2003年。
中学生だった。
テレビでバレーボールW杯を見た。
大山加奈選手に感動した。
手にスティックバルーンの代わりに空のファンタのペットボトルを持って叩いて応援した。

それまで入っていた部を辞めて、バレー部に入った。

男子バレー部員からプレーを馬鹿にされたり、元いた部活の先輩にかげ口を言われたりした。

負けなかった。
仲間もいた。
元気に頑張った。

2004年の春。
10ヵ月後の2005年1月に、少女の町でプレミアリーグの試合が行なわれることを知った。
北海道に来る4チームに「東レアローズ」のチーム名があった。

春、夏、秋…
アローズが、もうすぐ北海道にやってくる。
楽しみに待ち続けた。

チケット販売初日に、友達と朝からならんだ。
2人だけだった。

朝早くからならんだけれど、アリーナのチケットを2枚買うお金はなかった。
土曜日のスタンド席と、日曜日のアリーナ席を1枚ずつ買った。

1月某日。
雪が降っていた。
空港でアローズを待った。
その日に、来るか来ないか、わからなかったけれど、手作りのボードを持って待っていた。

アローズが来た。
ダンさんとサチさんが気づいてくれた。

嬉しかった。

土曜日のパイオニアとの試合。
ストレートで敗れてしまったけれど、アローズの試合、加奈さんのスパイクが見れて嬉しかった。

日曜日。
その年のアローズは、日曜日にひとつも勝てなかった。
その日曜日に勝った。
未希さんがリベロだった。
ダンさん、エリカさん、そして、ひときわ輝いていたのが加奈さんだった。

試合後。
バスを見送った。
走っていくバスを追いかけた。
雪道を走った。
さよなら。
ありがとう。

……東海大学篇に続く