夏のヒロイン

近畿総合からの帰り道。
ARROWSファンのA君と、京都府立からの坂道をくだっていた。
「応援していた選手がチームを離れた時の気持ちのありようは難しいね」
「難しいです。」
A君は、ダンさんのファンだった。

近畿総合のARROWSが、もしも。JTに惨敗したら、サマーリーグ決勝に行こうと思っていました。
励ましたいから。
でも、予想外の快勝。
強いなあ。サマーリーグ決勝も大丈夫。
東海男子の開幕、9人制バレーボールを応援しに行こうと思ったのですが。
どうも、近畿総合で見た、ARROWSの某選手が心に引っかかっていました。
近畿総合のARROWSを見た最初の印象。
「少ないなあ」
第2印象。
「新しい選手が増えたよなあ」
その「少ない」「新しい」選手たちが、頑張っていました。
小さいながらもエースとして、活躍していた小平選手。
ミチさんが欠場していてただ一人のセッターとして才能のきらめきをコートの中で、輝かせていた田代選手。
そんな中、これまで不調であったという峯村選手。
昨年、入部した3人の中で、現在、もっとも悩んでいるのではないかと思う峯村選手が、どうも心に残って、サマーリーグ決勝に行くことにしました。

JTに2セット連取された第3セット前のベンチを見ました。
ブロックに何度も捕まり、苦しんでいた峯村選手の顔を見ました。
そのとき、思ったのは、
負けても、いい。
ただ、最後まで、試合を投げない。
あきらめない。
あきらめさせない。
選手の心を絶対に折れさせない。
でかい心で温かい気持ちで、選手を応援しようと心底、思いました。
心をこめて声援、送りました。

勝ちました。優勝しました。
その何より尊いもの以上に、選手の一人ひとりが、厳しい中、踏みとどまった。あきらめなかった。
そして、信じていた私たちに応えてくれた。コートの中で、表現してくれたことが嬉しかった。
試合後の峯村選手を見ました。
この夏のヒロインは、最高の笑顔でした。