本当の気持ち

全日本インカレ 女子決勝。
東海大学2−3鹿屋体育大学
第1セット23−25
第2セット25−22
第3セット25−23
第4セット23−25
第5セット6−15

第1セットから息がつまるような試合でした。
そして、第5セット。
最後の15点目が入るまで、ただ勝利を願い応援しました。
しかし、バレーボールで言う「流れ」は一気に鹿屋に流れ、バレーボールの神様は、また東海には微笑んではくれませんでした。
大学バレーボールの5つの大きなタイトルと東海の成績。
春季リーグ、優勝。
東日本インカレ、優勝。
東西インカレ、準優勝。
秋季リーグ、準優勝。
全日本インカレ、準優勝。
素晴らしい成績です。
それでも、また「日本一」には届きませんでした。

試合後に横断幕を回収しに行きました。
5人の4年生の個人幕が5枚。
この2010年の東海を応援するための横断幕が1枚。
「努力の花を咲かせよう」の横断幕が1枚。
全部で、7枚。

努力の花を咲かせよう。
謂れはわからないのですが、それは東海大学女子バレー部には、とても大きな言葉のようです。
この幕を作ったのは、全日本インカレで花を咲かせてほしいという気持ちと、
今後、会場で今までのように応援できなくなってしまうので、「今も、東海を応援している」
その気持ちを伝えたくて作った横断幕です。

4年生の幕ははずして、用意しておいた5つのバッグに畳んで入れて、それぞれに贈ることに決めていました。

全日本インカレ前に怪我のため、ベンチ入りを外れていた部員さんが近くにいて、お渡ししました。
目がきらきら光っていて、元気に
「ありがとうございました」
帰る時、玄関で2人の部員さんに挨拶しました。
同じように目をきらきらさせながら、元気に
「ありがとうございました」
と、声をかけてくれました。
目がきらきら光っていたのは、涙をこらえていたスマイルでした。

長い時間。からっぽの心のまま電車に乗りました。
新宿で電車を22分待ちました。
新松田で29分待ちました。

無言のまま。それは話す相手がいなかったという意味でなく、自分の心の中を言葉に変換できない時間でした。

こんなに辛い気持ちになるのなら、また、他のこともあって、このまま、大学バレーとは、さよならしようかと思いました。
それも、本当の気持ちです。

帰宅途中から眠る前までにいただいた3通のバレー友達からのメールは、本当に心にしみました。
ありがとう。

眠って、3時に起きて、自分の中の本当の「今」の気持を変換する作業を始めています。

全日本インカレの試合後に、こんな言葉を掛けて下さった方がいます。
「負けても、悔しいという気持が感じられないんだよね」
それは、東海ではなくて某大学を応援されている方の言葉でした。
ご自身が応援されているチームが負けてしまったのですが、
悔しい気持が感じられなくて……だ、そうです。
悔しいという気持は、正直、私にはありませんでしたが、つらいという気持ちがありました。
今の自分の本当の気持ちをできるだけ正確に言葉にしてみようと思います。

東海大学の門を入って、下っていくと噴水があります。
その脇に小さな人魚の銅像があります。
東海大学女子バレー部のニックネーム「Mermaids」は、それです。
創始者の方がデンマークの教育に関する考え方に共鳴され、親交があって、その銅像も建てられたというお話をお伺いしたことがあります。

今の本当の気持ちは、これだけ辛い気持になること。
単純なのですが、
それは、やはりチームが好きだからだと思います。
この日の決勝は、たくさんの人の心に届いたと思います。
そして、たぶん。
既に届いていたものにとっては、さらに深くなった決勝だと思います。

それと。
今の本当の気持ち。
小田急線の
東海大学前駅を降りて、
坂道上って、急な階段上って
門に入って、坂道下って、
噴水脇の小さな人魚の横を通って
東海大学の体育館に
観客席にぽつんと
東海大学女子バレー部
Mermaidsのバレーを見に行きたい。
Mermaidsを応援したいです。