God’s territory

自分は、どちらかというと、JT、PFUを応援していました。



チャレンジマッチ、1日目を終えて、トヨタ車体のセッター、藤田選手が気懸りでした。
とにかく、思いつめたような表情でコートの中にいて、倒れるんじゃないかと思いました。
試合も敗れ、
カナニ選手、竹田選手も万全な状態には遠いように思えたものですから、セッターの藤田選手のプレッシャーは、相当なものだと思いました。



セッターは特別なポジションだと思います。
応援するならセッター以外のポジションがいいと思います(笑)
未希さんがセッターに転向した時、ミチさんという、後にメダリストになる素晴らしい選手がいました。
その選手を差し置いてのスタメンでの起用。
クウさんがJT、1年目。竹下選手が退団しての1年目。
それは、それは、風当たりの強かったこと。
セッターは、特別なポジションです。



2日目の藤田選手。
特に、その第2セット中盤。
コートの中で、周りを盛り立てて、支えて。
それは大事なことであると思いますが、
この時の藤田選手は、そんな大事なことさえ、超越したとこにいました。
プレッシャーの中で、戦い続けていた藤田選手が到達した「神の領域」。
レシーブしたボールが上がる。
けど、藤田選手が、まったくトスの体制に入らない。
動かない、遅い。
と思った瞬間にノーモーションで、きれいで、ミリ単位のブレもないトスを、アタッカーに供給していました。
こんなのブロックが、つけるわけがありません。
あのセット中盤の藤田選手は、人間じゃなかったもの。
人が敵う相手ではありません。
ゾクゾクしました。
第3セットに、車体はセットを落としてしまうけれど、あれは「反動」だったのではないかと。
藤田選手の「あれ」がずっと続けられるわけがありません。


なんというか。
チャレンジマッチという過酷な状況。
そして、絶体絶命であったトヨタ車体
プレッシャーの中で懸命に闘っていた藤田選手が覚醒し到達した「神の領域」が見れて、
チャレンジマッチというと、チーム全体の「これから」
そこにある「涙」「勝ちたいという気持ち」
それらを含めた大きなテーマがあると思うけれど、それさえを凌駕するアスリート、というか、人の凄み。
「個」の持つ可能性、素晴らしさを、その場で見れたことが、ひとつの純粋な喜びでした。