その風景

吉村志穂。
サキさんは、自分にとっては思い入れのある選手でした。
サキさん達世代を、東海の黄金世代と呼ぶ人もいます。
大学2部だった東海に入部して、1年目に1部復帰。
その年の秋リーグに優勝して、全日本インカレでは準優勝。
山口かなめ(現NEC)、近江あかり(現NEC)。
河野舞(現 柏)。養畑美穂(現 三菱)。
素晴らしい選手達が集まってきていたけれど、1年生の春リーグで先発出場したのは、サキさんだけでした。
あの世代の中でのサキさんの「位置」は、中心にあったと思っています。


その年。
自分が応援していた大山加奈選手が、怪我でコートを離れていました。
その当時、誰の、どんなスパイクを見ても、心にドーンと響くものがありませんでした。
それが、秋リーグの青山学院大学戦。
2セット先取されてからの2セットを取り返した第5セットのサキさんのスパイク。
あれを見て、頭のてっぺんから衝撃を受けました。
どーんと響きました。


https://www.youtube.com/watch?v=GT6zZ7aVqgU&list=UUwK_a_zjC2VmHl1HrGxykfA&index=24



実は、もうその時から、サキさんが大観衆の前で、そのプレーを存分に見せてほしいなと願っておりました。
あれから6年。
その日が2014年11月16日でした。


場所は東京体育館
最高の舞台でした。
プレミアのコートに立つサキさんを見て、すでにうるっときていたんですが、
左に全日本の前キャプテンの荒木選手。右に世界一になったアメリカチームのエース、マーフィー選手。
その真ん中にサキさんがいるローテがあって、ぐっとくるものがありました。
エリカさんが、186cm。マーフィー選手が188cm。
真ん中のサキさんが、168cm。
「格」「身長」で劣っているはずのサキさんが、二人に負けない存在感を示していました。
その風景は、自分が思い描いていたのとは、また別の素晴らしい1枚の絵でした。
世界的な二人の選手の中でも、けしてその輝きは霞もせず、サキさんはサキさんらしく輝いておりました。