２００４年２月２９日。僕は東レ・アローズの応援席のすぐ横，東京体育館の２階席の隅っこの方で，メガホンもって応援していました。
第１０回Ｖリーグ優勝決定戦２日目，パイオニアの優勝が決まったその瞬間。
歓喜に沸くパイオニアと対照的に，東レ・アローズサイドでは，
大山加奈選手がタオルで顔を隠していました。荒木選手が純真な子供のように泣かれていました。冨田選手がなんともいえない痛切な表情で……選手，ひとりひとりのそんな涙を見ていたら，涙もろい自分もつい……でも，我慢はしてました。
そしたら，向井選手。目に涙をためて，それでも笑顔でいました。
ダメでした。ぽろっと涙がこぼれちまいまいました。
パイオニアの選手がインタビューを受けている時も，みんなの先頭に立って，まるでみんなを守るようにコートにいちばん近い場所でじっと見つめておられた向井選手。
あの時の涙と笑顔。
東レ・アローズの試合はできるだけたくさん駆けつけたいと，あの時に思いました。
