サキ、大好き

pigroboshow2008-06-04

月刊バレーボール2008年3月号の高校生3年生の進路特集で、東海大学に進学する生徒の話をバレー友達の「羊青年」としていた時のこと。
「川崎橘の吉村志穂さんって人が入るんだよねえ」
「まじっすか?」
「そう書いてあるねえ。いい選手?」
「めっちゃ、いい選手ですよ。ミヤさんタイプかな。春は、2部中心に応援します〜」
それから、羊青年から吉村さんのジャンピングサーブの写真を見せてもらったのですが、確かにミヤさんによく似ていました。
春季リーグ開幕。東京体育館
ベンチ入りした選手の中に1年生が、すごく多くてびっくりしました。
そして、その中に吉村選手がいました。
そればかりではなく、吉村選手は先発で出場しました。
試合では、どシャットで捕まる場面もあったし、ブロックに対して少し逃げるようなフェイントを打つ場面もありました。
「緊張」しているのが、とても伝わりました。
ジャンピングサーブは、絶好調で何本も吉村選手のサーブが続く場面がありました。ですが、開幕戦での吉村選手は、どちらかというと消極的なプレーの印象の方が大きく、大丈夫かなあと心配な気持ちもありました。正直、吉村選手に対する期待よりも、昨年、悔しい思いをした上級生に頑張ってもらいたいという思いがありました。
2戦目の吉村選手は、初戦に比べたらとても動きも軽くなってきたように思いました。それと、試合中に
「サキ。がんばれ!」
そうスタンドから声がした時に、大きく頷く場面がありました。
1年生でスタメンのコートに立つ。
苦しいんだろうなあ。プレッシャーもあるんだろうなあ。
吉村選手は、時々、スタンドの新1年生を目で見て、頑張るという感じで拳を握っていました。
国士舘大学多摩校舎体育館。大東大との試合。
この試合は苦しい苦しい試合でした。
流れは大東大東海大学は大きく追い詰められていました。
この試合の吉村選手が凄かったです。
1戦目に見られた弱気な場面が全く無く。
上がったボールを思い切り無心に叩いていました。
決まらなかった時は、めっちゃ悔しがり、それでも怯むことなく立ち向かっていました。決まった時は、全身で喜んで。
その気持がコートの中から、ストレートに、ぐっと伝わってきました。
セット終盤の苦しい場面で、ネット際の難しいボール。相手ブロックを破ってスパイクを決めた時、新1年生が、思わず
「サキ、大好き」
そう叫んでいました。
私の中でも、もう吉村選手はいませんでした。コートの中には、東海大学レフトポジション。背番号27番の「サキ」がいました。
サキが凄いのは、応援しているこっちの「気持ち」をコートに立たせてくれることです。
まだまだ荒削りな部分も多いと思うのですが、いいじゃあないですか。
楽しいじゃないですか。
ボールをひたむきに追う。
そのひたむきさが、心を打つことはバレーボールという競技には多くあります。
そして、最終戦
スタンドに目をやったサキは、やっぱり拳を握っていました。