第３位の表彰式が終わって、
応援席の方に挨拶に来た選手達の首から第３位のメダルは外されていた。
（精一杯たたかったよ）
心から選手を讃える想いで拍手を送りました。
自宅から持ってきたタクトさんと、未希さんの幕を外しました。
その幕を持って移動中にＪさんにあった。
「お疲れ様でした」
「悔しいね。涙、でるよ」
Ｊさんは、試合中に東レコールを何度も送っていた。
Ｊさんと別れて、スタンドの上のほうに行って、幕をたたんだ。
帽子とアローズのブルゾンは脱がなかった。
負けた時は、いつも着替えない。
負けた時は、アローズの選手を見送るまで、応援し続けたいから。
着替えない。
幕をたたんでいていたら
「お疲れ様」
つい先日、お子さんをご出産されたＹさんだった。
東海のこととかを少しお話した。
それから通路を歩いて、今日は、来ていなかった方の横断幕を３つめくっておいた。
体育館の出口にいったら雨が降っていた。
折りたたみ傘をさして、長い距離をアローズバスに向って歩いた。
ＵさんとＭさんが雨に濡れたまま立っていた。
傘を差し出したけど、２人とも雨に濡れていることを気にしてはいなかった。
その少し離れたところに、大阪から来ていたＴ君と、サオリさんファンの女の子がいた。
雨が降っていた。木の下にいて、雨を凌いでいた。
「傘、いるかい」
そう聞いたけど、
「木の下にいて大丈夫です」
傘を女の子の頭の上の方にさすようにしていた。
「明日、どうしようかな」
Ｔ君は今日は帰れない。
雨は小降りになってきた。
傘をしまった。
小雨が降る中。
アローズを待った。
バスの中に選手は入って、あとは菅野さんを待っているようだった。
雨の月曜日。
小雨が降る体育館の外に、人はまばらだった。
加奈さん、未希さんが座るほうの道路わきで待った。
雨は降っていた。
特に気にはならなかった。
少し寒かった。けれど、アローズのブルゾンの上にジャンパーは羽織らなかった。
アローズを見送るまでは、その姿でいたかった。
アローズバスが発車した。
手を振った。
加奈さんは、気づいてくれたかもしれない。
けれど、みんな下を向いていた。
未希さんは、思いつめたような表情で上を見ていた。
雨の月曜日。
走っていくアローズバスに向って手を振った。
見てくれてなくても、気づかれなくても。いい。
敗れて、悔しさをいっぱい乗せたアローズバスに手を振った。
いろんな想いをこめた雨の月曜日。
