東海大学と

pigroboshow2009-07-30


東海大学女子バレーボール部のバレーボールと私が出会ったのは、2006年の春。大阪でした。
黒鷲旗のグループ戦で東レアローズとの対戦でした。
勿論、私はアローズの応援に。
それまで、大学バレーにはあまり興味がなく、東海大学も、東海地方の大学?愛知県あたりの大学かな?それぐらいの認識しかありませんでした。
同じアローズファンと一緒に、朝早くから並んでアリーナ席に座りました。
試合を待つ間。ふとスタンドを見たら、東海大学の部員さん達のそばに、同じアローズファンが2人、座っていました。
心細そうに思えました。
ちょうど、席が空いていたので、私もスタンドからその2人と応援しようと思いました。
それが、そもそもの始まりだったと思います。
その試合で、東海の部員さん達が対戦チームでありながら、未希さんのプレーに拍手を送ってくれたのが、とても嬉しく。スタメンをほぼ揃えたアローズに善戦した東海に好感を持ちました。
☆☆
2006年の秋に、淵野辺で見た東海大学東京女子体育大学の試合が素晴らしかった。
第3セット。32-30のスコアが物語るように大接戦。
その時の東海のコートに心を打たれました。
みんなが必死にボールを拾い、繋げて。エースの藤崎選手にボールを集めました。でも、なかなか決まらない。それでも、頑なにエースを信じ続け、ボールを何度も何度もあげて。また、藤崎選手もその気持ちに応えるかのように「もってこい!」
最後、藤崎選手が3枚ブロックを破って、スパイクを決めた時に、思わずジーンとなってしまいました。
淵野辺からの帰りに、もっと早くから東海の試合を見たかったなあ。藤崎選手のプレーを見たかったなあと思い、バレー友達の羊青年に熱く語ったことがありました。
☆☆☆
2007年の春。東海は苦戦していました。私が応援に行ったのは、リーグ戦の6試合目の松蔭大学との試合の時でした。そこで、足を引きずって歩いている選手を見ました。
山下みなみ選手。エルさんでした。
「なんか、尋常じゃない感じですね」
羊青年が言うように、山下選手の怪我は相当悪いように見えました。
私は、山下選手のことをあまり良く知りませんでしたが、北海道の函館で山下選手からバレーボールを教わった少女の話では、山下選手は、東海のセンターとしてずっと活躍されていて、春リーグに出場してなくて心配だったということを聞きました。
興味を持って調べてみたら、黒鷲旗でも出場していて、加奈さんのスパイクをブロックで止めていました。
それほどの素晴らしいセンターでした。
山下選手は、スタンドでチームを盛り上げようと、いつもめいっぱい応援していました。
でも、東海はリーグ戦で1勝しか上げられず、山下選手の大きな目から零れ落ちる涙を何度も見たように思います。素晴らしい才能がありながら、怪我のため、試合に出ることが出来ず、チームが連敗している現実は、山下選手の気持ちを考えると切なく思いました。また、その山下選手の気持ちにも応えようとしても、結果が出なくて苦しんでいた東海を見ていて、心がぐらぐら揺れ動きました。
☆☆☆☆
日本体育大学で、入れ替え戦が行なわれました。対戦相手は、日本女子体育大学
試合は1セット奪った後に、3セットを奪われ、敗れてしまいました。
最後の第4セット。
東海大学 16-23 日本女子体育大学
7点差を広げられた場面でのサーブに立った黒河選手(イチ)さんが素晴らしかった。大ピンチの場面で、全てのジャンピングサーブが、攻めていました。1本も入れてけサーブはありませんでした。
もしかしたら。そんな奇跡を感じる場面まで、東海は頑張ったものの、
東海大学 22-25 日本女子体育大学
日本女子体育大学に敗れた後のスタンドで、山下選手が涙しているのをOGの方が慰めていました。
山本選手(カイト)が、静かに泣いていたのが印象的でした。
スタンドの上のほうで、ひとりぽつんと柳川選手(カンナ)が、座っていました。
何も言葉を掛けられないなと思い、体育館を後にしようとした時に、自分でもよくわからないのですが、引き返して、スタンドの階段を上がっていって、柳川選手に言葉を掛けました。
日体大からの帰り、心に重いものを持ってバスに乗りました。
☆☆☆☆☆
東海大学を励ましたいなと思い、横断幕を作成しました。正直、恥ずかしかったですが、笑ってもらえたらいいやと思いました。
入れ替え戦後に行なわれたのは、神奈川リーグという神奈川県の男女の大学バレー部が集まる大会でした。よりによって、そんなたくさんの大学が集まる大会なんて。滅茶苦茶、プレッシャーがありました。
だって、大学のバレーボールチームの横断幕を個人で作る人というのは、稀ですし。
もしも、張って怒られたらどうしようかと真剣に思いました。
心臓がもともと良くないのに、卒倒しそうな緊張感の中、張りました。そしたら、すごく喜んでくれて。
その時、初めて、色んな選手と話せました。見たかった笑顔が見れて、素直に嬉しかったです。
☆☆☆☆☆☆
2007年の秋リーグは、私の中で色んな想いが生れていて、東海を一生懸命に応援しようと思いました。
その開幕戦の会場である国士舘大学に向う電車で、偶然、東海の4年生が乗った車輌と一緒になりました。
その時、キャプテンの山中選手(ナナ)が笑顔だったのですが。その時の笑顔が忘れられません。温かくて、とても穏やかで優しい笑顔でした。
電車を降りて改札に向う時に山下選手が
「大きな駅だなあ。初めてだなあ」
2部に落ちてしまって、初めて訪れた駅に、山下選手が口にした言葉がぐっと心に刺さりました。
山下選手が秋にコートに帰ってきてくれたのは、本当に嬉しかったなあ。
☆☆☆☆☆☆☆
国士舘大学で行なわれた国士舘大学との最終試合。
この試合でも、一生懸命に応援していました。国士舘大学を応援している父兄の方から、
「あの人。東海の応援の人?すごい 必死だねえ」
と笑われてしまったけれど、もうとにかく東海に全勝優勝してほしい。そして、4年生がいる今のチームで1部に返り咲いてほしい。そう思って、応援していました。
全勝優勝したその後のセレモニーの時に、
「ありがとうごいました」
山中選手がそう言ってくれました。でも、私はただ無言で笑っていました。
「おめでとう」
そう言いたかったけど、それは、入れ替え戦の後だ。
そう自分に言い聞かせました。
☆☆☆☆☆☆☆☆
負けるはずのない試合。勝負に絶対はないけど。
「絶対に勝つ」
それしか考えていなかった秋の入れ替え戦。東海は、日体大に敗れてしまいました。
試合が終わり、コートからスタンドに向って階段を上がってきた三浦選手(クルミ)と、スタンドからずっと応援していて、階段を降りてきた柳川選手(カンナ)。
涙するクルミさんを、少し上の階段から笑顔で抱きしめていたカンナさんは、とても優しい顔をしていました。
つらいことや、悔しいこと。
その連続だった1年ではあったけれど。
その中で、東海というチームは、互いを思いやる気持ちを忘れず、チーム一丸となって頑張りました。
あの時のカンナさんの笑顔は、今、思うと、その象徴だったように思います。
2007年の全ての試合が終わった冬に、偶然出あった4人の4年生と相模高校に向う道で、思いやりという言葉を噛みしめました。そして、体育館で野溝選手から、ひとつのことを教えてもらいました。
「キャプテンになりました」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2008年の東海には、たくさんの1年生が入りました。走り始めた新チームがチームとして、ぐっと固まったように私が感じたのは、国士舘大学で行なわれた大東大との試合でした。この試合は厳しい試合でしたが、終盤の吉村選手(サキ)が、とにかくすごかった。
春のリーグ戦では、なんといっても最終戦国士舘大学との試合が素晴らしかった。試合後のスタンディングオベーションには感激しました。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
何かを掴みかけていたように感じた春から夏。そして、秋。
この秋リーグの感動に勝るものが他にあるのだろうかとも思います。
春、2部準優勝のチームが半年経たない秋に1部で優勝する。
ということは、ずっと見てきた、応援してきた者には、途轍もない感動がありました。
青山学院大学の体育館を出て、階段を下りた先に東海大学女子バレー部の部員さん達がいました。
ずっと、言いたかった言葉をみんなに言いました。
「おめでとう」
できれば、選手達を見送りたいなあとも思いましたが、青学から渋谷駅に向って歩いていく選手たちに手を振り続けるってのも、おかしいし、それは無理だよなあって思いました。残念ですが、仕方がありません。
渋谷駅から井の頭線下北沢駅まで行き、下北沢駅から小田急線の急行に乗り換えるつもりでした。
下北沢駅で降りた時に、ふと、町田から特急が出ていたことを思い出しました。
「たまには贅沢して、特急で帰ろうかな」
下北沢で特急券を買って、町田で特急を待ちました。
駅員さんに、
「特急は、このホームでいいんですよね?」
と尋ねました。駅員さんは、私のチケットを見て
「いいですよ。このホームの青い色の5番のところが乗車口ですよ」
そう教えてくれました。
青い色の5番のところに立ちました。
私が「青い色の5番のところ」に立ってすぐに、
新宿発の小田原行きの急行が止まりました。
その目の前に止まった車内に、
吉村選手(サキ)がいました。山口選手(クウ)がいました。
上野選手(マリ)が驚いていました。
東海大学女子バレー部の選手達が、その急行電車に乗っていました。
最初、あまりの偶然にわけわかんなくて、でも、すぐに手を振りました。
明るい笑顔で手を振り替えしてくれました。
私が万歳をしたら、車内で、みんな万歳。
不思議な気持ちで思わず、信じられないと呟いて、首を振ったら、ベストセッター賞を取ったクウさんが笑っていました。
発車の合図。ホームで大きく手を振りました。みんな手を振り返してくれました。
町田駅のホームで一人でした万歳。都市伝説になるかな?(笑)
バレーの神様も、たまには粋なことをしてくれるんだなあと思った 一人きりの見送りでした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
どこのチームにも、それはあると思いますが、
たまたま、私が東海のバレーボールと出会ったのは、特に苦しい時、つらい時でした。
そんな時にチームメイトがお互いを思いやる気持ちを見てきて、
東海がとても好きになりました。