あんぱん

土曜日。
松山青雲ジュピターが敗れてしまった後に、差し入れを渡したいなと思いスタンドからロビーに下りていきました。
松山青雲ジュピターの選手たちがコートからやってきて、ちょうど先頭にイチさんがいました。
「みんなで食べて」
そう言って、お土産渡したら、
「差し入れ、いただきました」
イチさんの元気な声。
そのあと、1階で大会プログラムを買っていると、
「ありがとうございました」
振り返ると、松山青雲ジュピターの二人の選手。
「ブログで見た人だあ」
そう言ったら、ニコニコ。

日曜日。
山梨中央銀行は、パイオニアに惜敗。
「ありがとうございました。助かりました」
山梨中央銀行を応援されてる方がそうおっしゃってくださいました。
「残念でした」
それから、
「また、いつか 応援に来ますから」
そう言ったのですが、その言葉は、試合後に周りの方と挨拶をされていて、届かなかったみたいです。
応援していた2チームが姿を消し、もう帰ろうかと思いました。
通路に出て、売店の横を通った時に、売店に「アンパン」が売っているのが見えました。
京都府立の売店の「アンパン」は、餡子がぎっしり入っていて美味しいんだよなあ。
「あんぱん。ひとつください」
「粒餡ですか?こし餡ですか?」
「粒餡ください」
粒餡のアンパンをビニールの袋に入れてくれました。
130円。
「ありがとうございました」
まん丸のアンパン持って、歩いていて、ふと。
このアンパン、クルミさんに上げようかな……
と思いました。
クルミさんがまん丸の丸顔で、アンパンみたいだからじゃないよ。
クルミさんに、声掛けたかった。
「頑張ったね」
そう ねぎらいの言葉を掛けたかったし、
クルミさんのプレー、見れて嬉しかったよ」
そう伝えたかったし、
「また 応援に行くから」
そう 元気付けたかった。
ってか、ちょっとでも笑顔になってもらいたかった。
笑わせたかった。
まん丸で、餡子がぎっしりつまったアンパンは、言葉を掛ける際に、なんか ちょうど良い「重さ」のように感じました。
「これ、あげる」
そう無造作に言って、言葉を掛けたかった。
しばらく、うろうろしていました。
けど、山梨中銀の選手は一人も見当たりませんでした。
残念だけど。
会わずに帰ることにしました。
帰り道。
アンパンマンの歌。
心の奥のほうで流れてました。